Pedals

PACKRAT

1978年、ミシガン州カラマズーで、最も多機能で影響力のあるディストーション・ペダルが発明されました。Scott BurnhamとSteve Kiralyは、市場に出回っている全てのディストーション・ペダルを演奏し、修理し、改造した後、今迄になかったペダルを開発しようと思いつきました。彼らは、当時主流だったMXRやDOD、さらにはBOSSの製品ラインにはないものを求め、オーバードライブからディストーション、さらにはファズまでできるペダル製作に着手しました。1979年までにScott Burnhamは、RAT(ネズミ)に囲まれた地下の作業場で回路を完成させ、それが歴史の始まりとなりました。

 

PackRatは、40年以上にわたるRATの進化と、それがギターのサウンドに与えた影響に対する究極のトリビュートです。ニルヴァーナ、ジョン・スコフィールド、ピンク・フロイド、メタリカ、REM、イーグルス、ジェフ・ベック、レディオヘッドなど、あらゆるジャンルのアーティストたちが、この地味なブラックボックスの中にある象徴的なトーンを使ってサウンドを作り上げてきました。

 

PackRatは、MuffulettaやBonsaiなどのマルチモード・ペダル・シリーズをベースに、同じ独自のデジタル・ランウェイ・システムを採用し、40個の個別スイッチを介して261個のコンポーネントの経路をコントロール。。伝説的な名機や貴重な個体をベースにした9つのモードを選択すると、アナログ回路部品の経年劣化(コンポーネントドリフト )に至るまで、完全に再現されます。これら9台の入手困難なペダルを今、中古市場で購入するとなると、4,000ドル前後にもなります。

 

それがPACKRAT 1台にインストールされているという事は、かなりリーズナブルなのではないでしょうか?

 

PACKRAT モード

 

RAT, WHITE FACE, TURBO, BRAT, YOU DIRTY RAT, IBANEZ, LANDGRAFF, WAVE CANNONは登録商標されています。JHSペダル PACKRATは、PROCO、IBANEZ、LANDGRAFFとは一切関係ありません。

 

  1. THE OG (1979-83)

OGモードは、最初期のRATを完全に再現したものです。この初期モデルの販売期間は約4年間で、V1モデルと呼ばれています。

初期のV1は、大文字のR-A-Tブランド名にフリンジ(房飾り)が装飾されており、別名「フリンジロゴモデル」としても知られています。また、V1には、後に生産されより馴染みのあるV2の“FILTER”のコントロール表記ではなく、“Tone”と表記されたノブが特徴です。

回路的にはV1とV2のBig Boxモデルはほぼ同じですが、V1のToneコントロールは時計回りに回すにつれ高域が増加し、V2のFilterコントロールは時計回りに回すにつれ高域が減少するという違いがあります。

OGモードに切り替えると、1979年製V1フリンジロゴモデルの正確に再現された回路が作動し、精密なトーン・コントロールとテーパーも再現されます。

V1モデルとV2モデルはまったく同じ回路で、トーン/フィルター・コントロールを調整するだけで、それぞれのユニットから同じサウンドが得られるのです。

非常にコアな層からは「なぜBud Boxモードを搭載しなかったのか」という声が聞こえてきそうですが、基本的にBud Box RATとV1は入力バファや幾つかの部品が追加されている以外同一品です。

 

  1. WHITE FACE V3 (1984-1986)

1984年、RATの外装は小さい正方形に変更され、白い長方形のロゴに変更されました。RATの文字は白い四角の中に黒で印字されており、その外観から「ホワイトフェイス」と呼ばれるようになりました。

1986年には、白と黒の色を反転させたロゴに変更され、黒の筐体に白の長方形の輪郭とフォントという、より親しみやすいものになりました。

この「ホワイトフェイス」モデルは、RATの至高品と称賛され、90年代に復刻版も登場されました。皮肉なことに、ホワイトフェイスV3の回路は前作の「BIG BOX V2」や次作の「BLACK FACE」1986年、そして1989年の「RAT2」と同等品であり、違いはスクリーン印刷の問題を解決する為に発生した外観上の変更のみでした。

市場がより小型のペダルを求めるようになり、BOSS、DOD、Ibanezなどのブランドがどんどんシェアを伸ばしていく中で、ProCoもトレンドに方向をシフトすることにしました。

ホワイトフェイスV3はOGと変わらないのに、なぜこのバージョンをPackRatに組み入れたのでしょうか?

第一にノスタルジアを大事にして、第二にV2-V3フィルターを逆向きにすることで、これまでとは全く違う感覚を味わえるようになりました。

いろいろな意味で、多くの人に最も愛されているRATのトーンの真骨頂と考えている要素を広げることができました。

あなたのように、私もお気に入りのペダルが魔法のモデルであると信じたいのですが、時には魔法は、見た目や使い勝手が他のバージョンよりも好きだからというだけのこともあります。それを認めてどんどん進みましょう。

 

  1. TURBO V6 (1989)

RATのトーンの核となるのは、シンメトリカル・ハード・クリッピングと呼ばれる設計手法で、この手法では、シンプルなアンプ回路でギターの信号を増幅し、それを一対のクリッピング・ダイオードに送り込みます。

その結果、このダイオードがギターの波形の頂点を切り取り、一種の矩形波の歪みを作り出しているのです。

1989年までのRATは、DOD 250やBOSS DS-1のように典型的なシリコン・ダイオードを使用していましたが、新しいTurboRATはLED(Light Emitting Diodes)へ変更しました。

懐中電灯や車のダッシュボード、DVDプレーヤーなど、地球上のほとんどの電子機器に使われているLEDと同等のものです。

この技術は、ペダルでは初の試みであり(Marshall Guv’norでも同じクリッピング・スタイルが採用されていました)、全く新しいRATの体験を提供してくれました。

以前のバージョンに搭載されていたシリコン・ダイオードは、順方向電圧が低いため、波形のクリッピングがより速く、より極端でした。

このタイプのダイオードは、非常に濃い音色を生み出すと言えるでしょう。一方、TurboのLEDは順方向電圧が高いため、信号はそれほど速く、そして激しく切り取られません。波形が「カットオフ」されるポイントに到達するには、より多くの信号が必要となり、タッチ感度と呼ばれる機能が生み出されました。タッチ感度はディストーションを低めに設定して、軽く弾くとオーバードライブ・トーンになり、反対にギターを強く弾くとクリッピング/ディストーションの歪みが大きくなります。

また、このモデルは、今日見られるスロープ型の外装を採用した最初のRATであることも特筆すべき点です。また、1年前の1988年に発売されたRAT2に搭載されていたオン/オフのステータスLEDが新たに採用されました。

 

  1. BRAT (1997)

1997年、ProCoは「BRAT」とGuitar Center限定の「Roadkill」をリリースし、廉価市場に参入しました。この2つの類似する製品は、異なる90年代グランジの顔を持っており、これまでの伝説的な回路の進化において、これまでで最も大きな変化をもたらしました。

このデザインでは、従来のRATの標準的なハードクリッピングに加えて、入力バッファ回路とソフトクリッピング(オペアンプのループ内)が追加されています。また、逆テーパー/ローテーション・フィルター・コントロールが復活し、いくバッファンデンサー値の変更により、周波数特性と歪みの特性が変化しています。

 

  1. DIRTY (2004)

2002年、ProCoは「Deucetone」という2in1のRATペダルを発売しました。このペダルは、完全に独立した2つのRAT機能が搭載され、それぞれを独立して作動させたり、合わせて使用したりすることができます。

また、RATトポロジーに”Clean RAT “モードと “Dirty RAT “モードの2つが全く新しいサウンドとして加わりました。

この “Dirty RAT “モードの人気の高さから、標準的なスロープ付きRATシリーズに、この1つのセッティングを搭載したシングルチャンネルペダル「You Dirty RAT」がリリースされました。

この回路では、左右対称のハードクリッピング部にゲルマニウム・ダイオードを使用しており、これまでのバージョンの中で最も高いサチュレーションと波形のクリップオフを実現しています。

ダイオードの変更に加えて、このモデルでは数種類のコンデンサの値を変更し、異なる歪みの特性と感触を実現しています。

 

  1. LA (1986)

1986年、Ibanezが発売した10製品ラインナップのうち、3つRATスタイルのペダルが含まれていました。

Super ProductとFat Catは、RATスタイルのペダルを正確に再現したトラディッショナルな立ち位置にあった一方、風変わりなLA Metalは、私にとって80年代のRAT回路の改造品で最もよく出来ていたものの一つでした。

LA Metalには素晴らしい入力バッファーを持ち、周波数レスポンスに影響するいくつかの鍵となるコンデンサの変更がされ、クリッピング・ダイオードを全く使用していない点などが改造されました。歪みはオペアンプのオーバーロード、または「レールをクリップ」することで作り出されました。

 

  1. LANDGRAFF MO’D (1999)

1999年から2000年にかけて、フロリダ州ペンサコーラでJohn Landgraffという男がペダルを手作りし始めました。John Landgraffのペダルは、ユニークな渦巻き状の塗装が施され、各所に配線が施されています。

ジョン・ランドグラフのペダルは、まさにブティックと呼ぶにふさわしく、素晴らしいサウンドで評判になりました。彼の最も人気のあるペダルは、Ibanez Tube ScreamerをアレンジしたLandgraff Dynamic Overdriveでしたが、私のお気に入りは、彼が「MO’D」と呼んでいたディストーションペダルで、RATの遠い親戚にあたり、それ自体が本当に素晴らしいペダルでした。

 

  1. CAROLINE (2010)

JHSを立ち上げた数年後、サウスカロライナ州の新しい会社から魅力的なディストーション・ペダルを購入しました。

その時、そのペダルの設計者であり会社の代表であるPhilippe Herndonと電話で話したことをよく覚えています。

ペダルの回路について、彼のRATへの愛について、そしてその回路に対する彼の巧妙なアプローチについて話しました。

その時のペダルは “Wave Cannon “と呼ばれていました。

PackRatプロジェクトを始めたとき、フィリップは私と共に歩む友人であることは明らかでした。

 

  1. JHS MODE

2003年、私はアラバマ州北西部で小さなギターショップを経営していました。

ある日、一人の男性がヴィンテージのSmall Box RATを持って入ってきて、売りたいと言いました。

店のオーナーが「興味がない」と返してしまったが、私はすかさず「興味がある」と伝えました。

そのRATを15ドルで購入したのが、私をペダル収集の道へと導いた、重要な出来事だったに違いありません。そのペダルは10年間私のボードの一部でしたが、2007年に私がペダルの改造と製作を始めたとき、私はそのペダルを開けて回路を学び、異なる種類のサウンドを反映させるために改造しました。その改造の一部は、今では生産中止になったJHS All Americanや、2008年から2018年にかけて何千台ものRATペダルに施した定番のJHS PackRat改造になりました。

JHSモードでは、RATのユニークな点を維持しつつ、個人的に好きなモードをいくつか加えることができました。

 

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